內容簡介絵本『セロひきのゴーシュ』(福音館書店)などで知られる茂田井武は、天才と称されながら、短い活躍ののち48歳の若さで逝去。20代にシベリア鉄道で渡仏した茂田井は、パリの日本人会で働きながら独学で絵を描き、日々の生活を画帳に描き留めました。帰国後はさまざまな職に就いたのち、成人向けの雑誌「新青年」で挿絵を描き始めます。戦後約10年のあいだには子どもの本を中心に、膨大な仕事に取り組み、晩年は病床で絵を描き続けました。本書には、代表作の絵本『セロひきのゴーシュ』をはじめ、パリで描かれた幻の画帳、絵物語、自身の子どもと描いた絵など、約200点を収録し、茂田井の全貌がわかる画集となっています。旅の画帳、流浪の詩、幼年の輝き、物語る絵など、時代やタッチの変遷を追って茂田井の魅力を紹介します。茂田井のぬくもりのある筆致や詩情あふれるモチーフは、現在も多くのファンを魅了し続けています。
作者介紹茂田井武(もたい・たけし)1908-1956年東京・日本橋の旅館の次男として生まれる。関東大震災で生家が全焼。太平洋画会研究所などを経て、'30年に渡仏。パリの日本人会で働きながら独学で絵を描き、日々の生活を画帳に描きとめた。帰国後、様々な職を転々としたのち、成人向け雑誌「新青年」で挿絵を描き始める。「二十世紀鐵仮面」(小栗虫太郎/文)など、暗く妖艶な画風で注目される。児童書では'41年の『ナニナニ繪本』が初仕事。特に戦後の10年間は子どもの本を中心に、病軀を押して膨大な仕事に取り組んだ。'54年、絵雑誌「キンダーブック」の仕事に対し、小学館児童文化賞受賞。絵本の代表作に『セロひきのゴーシュ』などがある。作品の多くは消失してしまったが、素朴な詩情と幻想、郷愁とユーモアを含んだ絵で出版美術界に大きな足跡を残し、影響を与えた。
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